私は57歳で白内障手術をしました。
80歳になればほとんどの方がなるという白内障。
老眼がきつくなってきたので眼科に行って自分が白内障だと知る。
「まだ早くない!?」と思って軽くショックでした。
しかし、最近の見えにくさは白内障のせいでもあると知り
「それなら手術しようかな」と思いました。
白内障の手術をした方は
「こんなに見えるようになるなんて思わなかった」
「もっと早くすればよかった」などという声が多かったのでやってみようと思ったのです。
軽い気持ちで挑んだ白内障手術・・・
結果は満足していません。
その体験談をお話します。
この記事はこんな人におすすめです
- これから白内障手術をする人
- 白内障手術のリアルを知りたい人
- 手術後の見え方に不満がある人
知ってるようで知らない
白内障手術のリアルな経験です
白内障とは
白内障とは、目の中でカメラのレンズの役割をしている水晶体という部位が濁ってしまう状態のことです。
通常の水晶体は透明であり、光が目に入ると焦点を合わせて見える像を作ってくれます。
しかし、水晶体が濁ってしまうと、視界がぼやける、かすむ、二重に見える、まぶしさを感じるといった症状が起こり、徐々に視力低下が進行していきます。
これは加齢が原因のことが多く、70歳代では80%以上、80歳代はほぼ全ての人が罹患していると考えられ、誰もが発症する可能性のある目の老化現象とも言えます。
加齢による白内障の場合、数年単位で徐々に視力の低下やものの見え方の変化が起こるため症状に気付かず、ある程度進行してしまってから発見されることも少なくありません。
私みたいに自分では
気づいていないパターンも
あります
治療方法としては手術が一般的で、濁った水晶体を取り除き、人工のレンズで置き換えることにより視力を回復させます。
単焦点レンズと多焦点レンズ
人間の水晶体の機能は、水晶体の厚さを自動的に変えることで見るものに焦点を合わせることです。
近くを見るときは水晶体が厚くなり、遠くを見るときは薄くなります。
しかし、年齢を重ねることで、水晶体の厚みを調整する機能が衰え、焦点が合いづらくなるのが老眼とよばれる症状です。
老眼は近くが見えないので
本当に不便です
白内障の手術では水晶体を取り出してしまうので焦点を合わせる機能がなくなってしまうのです。
そこで人工レンズを入れるのですが、この選択が難しいです。
単焦点レンズ
単焦点レンズは白内障の治療に最もよく使われます。
保険が適用されるので選ぶ人が多いです。
保険適用内での手術の相場は片目5万円くらいです。(両目で10万円くらい)
ただし単焦点レンズは焦点位置が1つなので、1つの距離でしかクリアな視界を得ることができません。
そのため、単焦点レンズを選択した患者は、それぞれの見え方の希望に応じて、近視用、中近視用、遠視用のレンズのいずれかを選ぶ必要があります。
この選択が重要です
多焦点レンズ
白内障手術を受けた後、より柔軟な視力を望むなら、多焦点レンズを選ぶことも可能です。
多焦点レンズは複数の焦点を持っており、眼鏡やコンタクトを使用しなくても、様々な距離を見ることができます。
多焦点レンズは、近方、中間、遠方の視力を改善し、シームレスな距離の移行を可能にします。
ただしこちらは保険適用外となるため、コストがかかります。
相場では片目30万円〜35万円くらいです。
高くてもこっちを
選ぼうと思っていました
眼科医からのアドバイスよりも自分の選択を通すべき
私が手術をお願いした眼科の先生は、白内障手術専門医でした。
この病院に来ている9割は白内障手術を検討されている患者さんです。
流れ作業になるのもわかるのですが、患者の意見や気持ちをしっかり聞こうとする姿勢はあまり感じられませんでした。
私はこれからも長く使う自分の眼のことなので多少のお金をかけてもいいと思っていました。
ですので多焦点レンズ希望の気持ちで行ったのです。
しかし、多焦点レンズは焦点の合い方が難しく術後に不満を持つ人が多いということで単焦点レンズを勧められました。
単焦点レンズを利用した方の方が術後の満足度が高いそうです。
多焦点レンズだと合わなかった場合、頭痛を起こすこともあるのだとか。
そんな話を聞くと怖くなり「単焦点レンズでお願いします」と返事をしてしまいました。
その上で今度は焦点を遠くに合わせるか、近くに合わせるかの問題です。
私は近くが見えないことがとても不便に思っていたので
「近くに合わせたいです」と言いました。
しかしこれも
「今、老眼鏡をお使いなのでしょう?それなら遠くに合わせて近くを見るときは老眼鏡を使う今まで通りの生活に合わせる方が不満を持たれないと思いますよ」と言われました。
ここでもまた私は
「それでは遠くでお願いします」と先生の言うことに従ったのです。
私の意志が弱いのが原因です
結局、私は遠くに焦点を合わせた単焦点レンズで両目を手術することになりました。
実際の白内障手術の体験談
白内障の手術は片目ずつします。
両目を同時にすると術後の眼帯時間中は見えないので1週間空けるのが一般的です。
私の場合は右目を手術してから1週間後に左目を手術しました。
感想① 術前から目薬をするのがめんどくさい
手術前に渡された目薬は抗菌用の目薬と瞳孔を開く目薬の2種類でした。
手術3日前から抗菌用の目薬をさします。
抗菌用の目薬を1日4回。
朝、昼、晩、寝る前。
忘れないようにスマホのアラーム機能を利用していました。
そして手術当日、1時間前からは瞳孔を開く目薬をさします。
感想② 手術日は運転できないので付き添いが必要
手術当日は家から瞳孔を開く目薬をさして病院へ向います。
目薬をさすと視界がぼやけてしまい危ないので娘の運転で連れて行ってもらいました。
瞳孔を開くと眩しくてぼやけてしまい、車の運転はできなくなります。
病院まで車を利用する人は必ず付き添いの人をお願いしましょう。
感想③ 手術は見えないけど音は聞こえる
病院についてからは今度は痛みを感じないように麻酔用の目薬をさしてもらいます。
定期的に4回くらい看護師さんにさしてもらいましたが、ときどきうまく入らないと
「痛みを感じてしまうんじゃないか」と心配になります。
こぼれたらドキドキです
手術室へは流れ作業のように順番に患者さんが入っていきます。
患者さんの平均年齢は70~80代ですので私はまだ若いです(笑)
皆さん、平然とした顔で手術室に入っていって手術して出て来られます。
おじいさんもおばあさんも
平気な顔してるんです
「そんな大した手術ではないんだな」と思って余裕の気持ちで中に入りました。
手術室には歯医者さんのイスのようなものがあって座ると背中が倒れます。
倒れたらあっという間に目の部分だけが開いたカバーを顔にかぶせられます。
なにかビニールみたいなもので覆われているので先生がメスでそれを丸く切りぬきますが、ここからなんだか急に怖くなり始めました。
「消毒します」と水のようなもので目を洗浄されて天井に光るライトを見ます。
まぶしいので思わず目を閉じようとしたら
「目は開けていないと手術できないでしょう」と叱られました。
条件反射なのに
叱らないで〜
器具で瞼が閉じないように固定されます。
眩しいけれど上の光を見なければなりません。
目を小さくカット。
ぼんやりとぼやけているとはいえ、ガチャガチャと音もするし、先生の手が目に近づいてくるのもわかります。
次に濁った水晶体を吸い出します。
痛みはないのですが、妙な感覚というかギュイ~~ンという機械の音も不気味でとにかく恐い。
でも目玉を動かすと手術に支障をきたすので必死にこらえます。
看護師さんが「順調ですよ」と声をかけてくれるので少し安心します。
「レンズ入ります」
レンズ挿入。
これもなんとなくですが、入ってきたのがわかります。
ただただ「早く終わって」と祈ることしかできませんでした。
私にとってこの10分は
本当に長かった
「はい、終わりましたよ」と言われてあっという間に手術室を出されてしばし放心状態。
看護師さんが眼帯をしに来てくれたのですが
「怖かった~!」と泣きつく始末(笑)
白内障術後
感想④ 手術当日はとにかく安静にするしかない
手術は10分で終わりましたが、片目を眼帯で塞がれているので生活するのは軽いストレスです。
家に帰っても夜ごはんを作る気分にならず出前を取りました。
手術当日はお風呂には入れません。
ひたすらゆっくり過ごします。
テレビを見るしかすることがなかったのですが、それも片目だと見えにくいので早めに寝る方がいいです。
感想⑤ 眼帯を外すと世界が変わる
翌日は術後検査のために眼科に行きます。
私と同じように片目に眼帯をした患者さんでいっぱい(笑)
看護師さんが眼帯を外してくれます。
「本当にクリアになっているのかな?」と思っていましたが、本当に濁りは無くなっていました!
「世界はこんなにクリアだったんだね!?」と驚きと喜びが押し寄せてきます。
眼圧や視力を測定します。
視力は1.2になっていました。
先生が目を診察して終了。
感想⑥ とにかく目薬が面倒くさい
すぐに翌週のもう片方の目に向けての準備が始まります。
術後の目には朝3種類・昼2種類・晩3種類の目薬をさし、手術前の目には前と同じ目薬を1日4回さします。
目薬生活はまだまだ続きます。
アラームが役に立ちました
感想⑦ 保護メガネがダサい
手術した目にゴミやバイ菌が入らないように外に出る時は保護メガネをかけます。
これ、絶妙にダサい。
かけると本当ブサイク(笑)
私はタダでさえメガネが似合わない人間なのにガッツリした保護メガネだと余計に恥ずかしいです。
マスクと髪の毛で
なるべく顔を隠しました
非常にダサい保護メガネですが、感染することが一番危険なので必ず保護しましょう。
感想⑧ シャンプーも用心しなければならない
お風呂も要注意です。
お湯が目に入ることでバイ菌が入ってしまうことがあるので術後3日間は髪の毛を洗えません。
美容院に行って仰向けで髪を洗ってもらうのはOKなのですが、お金かかりますよね。
なので私は介護用の大人のシャンプーハットを買いました。
これ、きっちり頭にハマるので全く顔にお湯はかかりませんでした。
何十年ぶりかのシャンプーハット。
こんなに顔にお湯が垂れてこないとは思いませんでした。
ぴったりフィットです
ただシャンプーハットを外す時や、湯気で顔が湿気てきたときはその都度きれいなタオルで拭きます。
なるべく目を触らないように、なるべく目に余計なものが入らないように、目薬をきちんとさして、外出時は保護メガネをかける。
これを2週間続けなければなりません。
この2週間は
本気で用心してください
両目の白内障手術が終わった後
残っていた方の目も同じことを繰り返し晴れて両目がクリアになりました。
濁っていた景色がクリアになってそこは大満足です。
ただ、見え方に不満が残りました。
私は本当は近くが見えるようになりたかったのに、先生の勧めを聞いて遠くに焦点を合わせました。
まず、やはりそこが不満の原因。
なんで意志を曲げたんだろう
思っていた見え方ではない
最新の機械を使って正確に測って選ばれた単焦点レンズでしたが、それでも100%計算通りにはいきません。
私の場合は想像以上に遠視になってしまいました。
遠くの建物の外壁の目地まで見える。
数百メートル先の看板の文字も見える。
遠くの山の木々がキレイに見える。
こんなにはっきり
見えるなんて夢みたい
遠くはものすごくよく見えるのでこれは非常に嬉しい結果でした。
しかし、焦点が予想以上に遠くに合ってしまったために買い物に行ったときに商品がぼやける。
友人と食事に行ったときに顔がぼやける。
2mくらい先のテレビがぼやける。
うそ!
前は見えてたのに!
先生の説明で手元は老眼鏡が必要になると言われていたのでそれは覚悟していました。
しかし、この1〜2mの距離がぼやけるなんて聞いていなかったのです。
この距離が見えないのはかなり不便です。
今までスマホを見るために使っていた老眼鏡をかけてテレビを見ると丁度いいのです。
「どれだけ遠視になってしまったの!?」とびっくり。
早速、先生に不満をぶつけました。
レンズの位置が変わると焦点も変わる
濁った水晶体を吸い出し、代わりに入れたレンズ。
これが少し奥に動いてしまうと遠視に傾くらしいのです。
その話を聞いて少しドキッとしたことがありました。
ま、まさか
私は保護メガネ生活中(術後2週間以内)寝るときは保護メガネを外していました。
そのときに無意識に目を押さえてしまったのです。
それと寝返りをしたときに少しうつむいたような姿勢で寝ていたことがありました。
「まさか、あの姿勢が原因でレンズを目の奥に押し込んでしまったのでは!?」と後悔のような気持ち。
保護メガネは就寝中もかけておく方がいいと後で知りました。
聞いてないよ〜
「レンズがまた前に移動するってことはないのですか?」と尋ねると
「その可能性はないです」と言われてしまい、私はこれから一生この超遠視の視力で生きていかなければならないのかと絶望感が襲ってきました。
一度入れたレンズは余程のことがない限り取り出したり交換はできない
こんな不便な見え方は嫌だ。
「先生、レンズを交換してもらえませんか?」と頼んでみました。
しかし、目の中のレンズは入れるのは簡単ですが、取り出すのは難しいのです。
入れるときは折り畳まれているレンズなので小さな切開で中に入れることができるのですが、取り出すときはレンズを中で細かく切り刻んで破片をキレイに取り除かないといけないのです。
もちろん時間もかかりますので、その間に感染症を起こすリスクも増えるのだとか。
「おすすめしない」と言われてすっかり落ち込みました。
また一度中に入れたレンズは1〜2ヶ月ほどで目の中の細胞が絡み付いてくるそうで、そうなるともう取り出すことは不可能だそうです。
一度入れたレンズを取り出したり、交換したりしたいのならば、術後2ヶ月までに手術をするかしないかを決めないといけないだなんて知らなかったのです。
そんなこと前もって
教えてくれてなかったのです
AddOn(アドオン)レンズ
もうどうしようもないのかと落ち込んでいたのですが、どうしても諦めきれず調べてみたところ
「アドオンレンズ」というものがあると知りました。
すでに白内障の手術を受けた目に対して追加で挿入できる眼内レンズのことです。
白内障手術で矯正しきれなかった近視・遠視・乱視の矯正が可能です。
また、単焦点眼内レンズで白内障手術を受けられた方で、老眼鏡の使用頻度を減らしたいという場合には、多焦点のAddOnを入れることも可能だそうです。
白内障手術時は、レンズを水晶体嚢に挿入しますが、AddOnはその手前の毛様溝に挿入します。
AddOn (アドオン) レンズのメリット
- 角膜をレーザーで削って視力を矯正するレーシックよりも見え方の質がよく、近視・遠視・乱視を矯正することができる。
- 単焦点レンズで白内障手術を受けた人でも、多焦点のAddOnレンズを使用することによりどの焦点にも合わせることが可能になる。
- 万が一AddOnレンズが合わなかった場合、摘出して手術前の状態に戻すことができる。
AddOn (アドオン) レンズのデメリット
- 健康保険適用外のため、手術費用が自費になる。
毛様溝に入れるため、レンズが会わなかったときには取り替えも可能と聞いて希望が持てるようになりました。
ただし、コチラのレンズは白内障手術後の眼内レンズが嚢内に固定されている眼でないとできません。
しっかりとレンズが固定されて安定するまで待つ必要があります。
今、リスクの高い再手術をするくらいならば、AddOn (アドオン) の方がいいなと私は判断しました。
しばらくは超遠視で不便ではありますが、老眼鏡でなんとか乗り切りAddOn (アドオン) にチャレンジしてみたいと思っています。
AddOn (アドオン) は多焦点レンズを入れることも可能なので、今度こそ多焦点のレンズにしようと思っています。
まとめ
私が白内障手術をして不満をもってしまった理由をお話ししました。
今更後悔しても仕方ありませんが、やはり手術前にもっともっと白内障の手術のことを調べておけばよかったです。
そして手術経験者の話をもっともっと聞いておけばよかったです。
白内障手術を受ける人は70〜80歳代の方が多いのでこのような詳しい話をブログ にして残している方は少ないと思いました。
なので57歳で経験したリアルな声を残そうと思いました。
白内障手術をご検討の方の参考になれば私の経験も救われると思います。
白内障の手術をした後の見え方、焦点をどこに合わせるかという話をしっかり聞いてくれる先生のところで手術することをおすすめします。
以上、参考になれば嬉しいです。
良い選択ができますように
にほんブログ村
にほんブログ村
コメント